2003/04/05 |
◆ベタイン旋回(JOY引きっぱ低速旋回)よりアウトインアウトの方が周回速度は速い。 |
オーバルコースを走る車に例える。ベタインで走る車より、コーナー手前でアウトから進入しインをかすめ再度アウトに抜けていく車の方が速いことは常識の筈。その知識を何故空に持って行けないのか不思議でならない。 空では三次元の空間を自由にコース取り出来るが、相手の進路にある程度合わせたコースを取る以上アウトインアウトのコース取りはさして難しい難易度ではない。 フラップの使いどころも、要するに車で云うブレーキングに相当するので出しっぱなしで更に着陸脚まで出すと云うのは愚の骨頂。 戦闘機でフラップを出すのは減速し揚力を増し、機体の直進性を押さえ小さく旋回する為。 車でブレーキングするのは減速しグリップを増し、車体の直進性を押さえ小さく曲がる為。 やってるコトに大差は無いので特別な論理を当てはめる必要は無い。速度のある物体より低速の物体の方が方向転換が簡単なのは小学生でも判る物理法則。 #E管理の観点から云うと、フラップも出さず減速もせず、Eを殆ど減らさず勝つ戦法(BnZ攻撃)が理想なのだけれど。 |
2003/04/06 |
◆旋回中に足を出すのは愚者の所行。 |
足を出したりフラップを出したりエアブレーキを開いたり、全て後方の敵機がオーバーシュートすることを狙った行動だとは思うがその機構は決して「瞬時」に動くものでは無いことを知っている筈。 後ろの機体が高速で接近する一撃離脱機ならまだしも、旋回戦の真っ最中で相手が自機の機動を見極めて接近して来るベテラン機ならまず引っかかるコトは無い。 逆に、自機はより速度を失い鈍重な亀となって相手はより長い時間の射撃チャンスを得、死期が早まるだけである。 #映画や漫画の見過ぎ。ラダー蹴っとばして斜め飛びする機動もそう。使うなら使いどころは ここ一番、ってときに使わないと。 |
2003/04/07 |
◆維持旋回は全ての旋回機動の基本形。 |
ただ漫然と高度を維持、速度を維持、旋回率を維持するだけなら誰でも出来る。それを全て同時にこなす人間が果たして何人居るか? 「そんなことしなくても俺は強い!!」と云う自信があるヒトは別にやる必要は無い。 しかし確実に云えるのは、どんな些細なことでも練習せずにこなせる人間は本当の天才だけで、凡人は自己結果に満足な結果が得られるまで黙々と練習するしか無い。 <どれだけ練習したか、では無く結果が全て。実戦中どの様な状態でも即座に実行に移せる状態になって初めて練習が活きる。 維持旋回に依って機体の失速限界、Eの損失率、旋回率を知り、そして推力と揚力の関係を体得することに依ってヨーヨーや軸ずらし等の高等機動をより完全に習得し、Eの管理と共に旋回戦機動でより自己を鍛えることが出来る様になる。 最も重要な点は練習と共に積極的に上のレベルの人間に挑戦し、技を盗み、自己を研鑽し、敵味方問わず下のレベルの人間に広めることに依って全体のレベルを引き上げていくこと。 たかだかLevel5程度の「中級」でちょいと数字が稼げる様になったところで何の自慢にもならない。周りを見渡せば、自分より上のレベルの人間は腐るほど居る筈だ。 |
2003/04/08 |
◆ヨーヨーのコース距離は昇りが短い。 |
下りと登りの連続した坂道を走る車を連想してみよう。 最も速く走る為には、下り道を斜めに走り速度を付けて登り道を最短距離で駆け上がるのが理屈に合った走り方の筈だ。 この道が一番下で曲がっているなら、アウトインアウトの要素を含みつつ上記の理由で進入角と脱出角が変わることになる。 これが「ローヨーヨー」の基本概念である。「ハイヨーヨー」では逆になる。 目標物を追う機動である以上自機のEと相手の位置で角は変わって来るが、下位に居る機体、高位に居る機体を狙う際にこの概念はとても重要になる。 #H2HをローヨーヨーでEを貯めてかわしつつ斜め反転上昇し追随・撃墜する一連の機動を「燕返し」と云う。 |
2003/04/09 |
◆旋回戦では相手の機体を追うな。 |
女のケツばっか見てると肝心の顔を見損なう。 機体のケツばっか見てると肝心の先を見失う。 敵機が仮に自機よりロール性能が優れていた場合、明らかに自機の方がEがあるのに下に行く敵機につられて追随するとバレルロール一発で位置関係を逆転されることがある。更に上昇性能も負けていれば、体勢を立て直す前に敵機は自機のアタマを押さえてハイヨーヨーで旋回率の差を埋めつつ射撃位置に付くことが可能になる。 こういう場合は相手が予想外の機動を取った場合に備えてある程度のEを残し、常に相手の旋回面の外側、上側で待ち構えて隙を窺うのが良いだろう。 <上からアタマを押さえて下に押し付ければ、いずれ逃げる先が無くなり地上すれすれを這う様になる。 例えば目の前の敵がバレルロールを行ったならば即座に外側に離れて様子を窺えば、それまで旋回で使っていたEを急速に失った敵機が下に逃げる筈だ。それを見越して自機はスロットルを緩めてバレルが終わるのを待って撃つなり、一旦上昇してBnZを仕掛けるなりと対策が打てる。 旋回軌道を合わせてケツにべったり張り付いて撃墜する手段も否定はしないが、1on1に於いてもBnZに於いても非常に効率が悪いと云わざるを得ない。 #相手の軌道の先を読むことと、相手の機動に対応して追従することはどちらも必須だが同意義では無いことに留意。 |
2003/04/10 |
◆ジンギングは不規則に動け。 |
逃げる際に追尾して来る敵機をはぐらかす為に左右上下に軌道を振り回すことをジンギングと云う。 <3次元空間を自由に使うシザースの連続、と考えれば良い。 さて、バレルロールやラダーロール等の基礎機動を練習し、正確に半円や円(曲技としてのロールは真円だが戦技としては半円で終わる)を描ける様になるのは結構だが、綺麗な旋回は逃げる際には墓穴の元になる。 単純にケツを追って来る敵機ならば自機のロール性能が上なら引き離せるが、そうでなければ一度スロットルを緩めバレルが終わるのを待てばあっさりと撃てる。 「わざわざE失ってまで元の軌道に戻ってくれてありがとう、おかげで撃ちやすくなったよ」 ってなもんだ。 シザースも同様で右、左、右、左と計った様に同じロールで動くならば追う方もあらかじめロール点を予測し追えば楽に追随出来る。 ワンポイントとして、「マイナスGを入れる機動」を上げておく。 通常見越し射撃は相手の機首が上がる方向に動くことを前提に敵機のエンジン方向を狙って撃つ。 これを考えて、敵機が旋回面の内側に入った際にマイナスGバレルを打つと大抵の敵機は追随・射撃出来ず離れていく。博打性がかなり強いが何もせず落とされるよりは遙かにましだろう。 ジンギングもシザースも考え方としては「積極的に軌道を切り返しどこかで逆転を狙う」と云う考えの元で行う機動なので、例え敵機が6時についても簡単には諦めないことだ。 #敵機の技術が自機と比較して同等以下であっても8割方落とされるが。 ##最も良いのは6時に付かせない戦い方。BnZもそうだが自機が常に優位な位置に有り、不利な状況を作らないことが最優先。敵機を落とす落とさないはその後。 |
2003/04/29 |
◆自機の性能限界を知れ。 |
例えば、A6M2に乗るなら旋回戦に引き込めばまず不敗。Bf109K-4なら圧倒的上昇力と加速性能で、低高度からでも速度を生かした一撃離脱が可能。 その逆を云えば、A6M2で高速機相手に高度も無く一撃離脱に対応するのは無謀だし、K-4でより旋回性能に勝る機体と旋回戦に入るのは無理に近い。 ↑は私の愛機だが、自機の性能限界を知れば自ずと採れる選択肢は決まって来る。 上昇力に劣る機体は戦場に着く前に高度を稼いでおかなければならないし、旋回性能に劣る機体は戦闘開始前に速度か高度のどちらかを稼いでおかなければならない。 (2003/12/31追記:「旋回性能に劣る機体は急旋回等の連続で速度を失ってはならない」) 自機が最も有利な体勢・状態から戦闘開始するのが理想だが、戦闘開始以前にこれらを考えておかなければ強敵に遭遇した際あっさり喰われるのがオチだ。 #本物のベテランはその程度のハンデなぞお構いなしに撃墜するけどね。 |
2003/12/18 |
◆安易な旋回戦は死を招く。 |
例えば、F4U-4CでJP機と戦うなら、通常なら高度を取って高度優位と速度優位を生かしつつ敵機の速度域で旋回せず、常に吊り続ければ自機が不利になることは無い。 可能なら味方機と複数で波状攻撃を行うか、味方機の方へ誘って行けばより簡単に撃墜することが可能になる。 ここで注目するべき点は、「常に自機の優位性を保って」と云う点。 なまじ大馬力エンジンと多段フラップを装備しているが為にLevel5では非常に回頭性が良く、大抵の日本機とは旋回戦でも勝ててしまうが為に旋回戦を得意とする者も最近は増えているが、旋回戦と云う戦闘方法自体が如何に時代遅れな戦い方であるかは60年前に歴史が証明している。 旋回戦と云う、ひとつのミスが簡単にEの総和の優位性をひっくり返し、射撃位置に付かせることを許してしまうリスキーな戦い方はあくまで自機が劣位戦状態にある等の不利条件にある側が仕掛けるべき戦闘方法で、その方法もひたすらJOYを引っ張り続け完全に持てる全てのEを削り尽くしてしまう頭の悪い方法では無く、旋回しながら、敵機の攻撃をかわしながら、射線をずらしながらでもとにかく敵機より優位に立とうとしつつ、更に周囲の敵味方の動向を全て把握した上でないと横から割り込んで来た敵機に容易く撃墜されてしまう。 より簡便に云うと、例えばA6M2と旋回戦を行い、負けてしまうのはある意味当たり前。 しかしA6M2を狙って何度も執拗に降下した挙げ句にEを失って旋回戦に入り、他の敵機に撃墜されるのは戦闘方法の選択を明らかに誤った結果であり、敵機にgkと打った以後はそれをまず反省するべき。 毎回撃墜される度に、 「自分が何故墜とされたのか?」 「敵機はどこから来たのか?」 「自機の優位性は確保出来ていたか?」 「敵機を追いすぎて周囲が見えてなかったのではないか?」 ……等のことを考えるだけで、次の戦いはより長く飛んでいられるようになるだろう。 逆に、 「敵機が強かった」 「敵機の性能が良かった」 「敵機が多かった」 「味方が助けてくれなかった」 ……等の感想だけで終わらせてしまうのは思考停止の始まりであり、それ以上の成長は無いも同然である。 #因みに、F4U-4CでA6M2を同位または劣位状態で開始する旋回戦で撃墜することは容易いし、その逆も然りだが、対処法を自分で考え試行錯誤させる観点から私はあまり積極的には教えていない。 2003/12/31追記: ##一部のパイロットには伝えてあり、広く普及させ対処法を考えることを宿題として出してあるのでいずれTC等で定着する可能性もある。 |
2003/12/19 |
◆正面攻撃は断固回避せよ。 |
よくチャット等でもHO(ヘッドオン攻撃、正面対正面攻撃)で射撃し合った末に衝突、と云う原因で紛糾していたりするが、本来これは断固回避するべき攻撃方法。 上から降った自機が狙っている敵機が回頭し自機を射線に捉えるか捉えそうな状態のとき、自機は射弾をかわすか射線をずらすか再上昇し攻撃をやり直す、と云う選択肢があるが、ぎりぎりの状態で襲われている側の敵機にはそんな余裕がある筈も無い。 相手が無傷での逆転を狙っているなら無論一撃を回避し6時を取って追随する手段を取るのが正解だろうが、持っているEの状態や被弾状況に依っては最早どうにか手持ちのEを総動員し無理矢理にでも機首を上げて正面攻撃に持っていくしか手段が無いかもしれない。 その様な状態に敵機を追い込んでいるのは、他ならぬ今まさに一撃離脱攻撃を仕掛けている自分自身なのである。 敵機も自機も一切射線をずらさず双方突進を続ければ衝突するのは自明の理、お互いに撃墜を狙いすぎた末の至極当たり前の結果であり、文句を云う方が筋違いである。 まぁ例外はあって、旋回戦中のHOは双方が最速旋回を続けた結果中心軸がずれすぎて相手の降下若しくは上昇と自機のそれとが合致した結果であり、これは双方の技量不足の結果であるが狙って入った状態では無くても双方回避機動を取るのが正解。仮に撃墜を取っても破片に衝突する可能性大である。 理想的な正面攻撃と云うのは敵機の真正面からでは無く15〜20度程度ずれた反航状態で、最低でも600m〜450mくらいの距離までにはラダーを切って斜め飛びしながら射撃を行い致命傷若しくはエンジン・コクピット・尾翼等の重要部分に何らかの打撃を与えつつ離脱するのが良いが、そもそもラダーを当てたままの流し打ちで高速で接近する敵機を狙って見越し射撃で命中させると云う行為自体が並外れた射撃技術を必要とする行為であるので、何の修練も無くただ知識だけで行うのであればやめておいた方が無難だ。 下手をすればラダー癖がついて、普段の射撃もまるっきり当たらなくなる。 また、敵機も自機も全速で相手に接近しどちらかが衝突軌道に乗っているならば、300mを切った時点で回避機動に入らないと衝突する危険がかなり大きい。 つまり、射撃した射弾を全弾命中させ、克つラダーに依る流し打ちも簡単に行うことが出来、300m以上の距離で見越し射撃を行い致命傷を与えられるくらいの射撃技術を持っており更に敵機からは一発も被弾しない自信があって初めて正面攻撃は行えると云うことだ。 自機は耐久力があるから、と仰る方も居るが、AAや戦車の1発でパイロットが死んでしまうことはよくあること。 同様のことは空中戦でも容易く起こり得る事態である。 |
2003/12/31 |
◆「つい」 |
「判っているんだけど『つい』やってしまう」と云う言葉を良く聞く。 つまり、 「判った振りをしているが行動が伴わず、実はまるっきり判っていない」と云うことだ。 実践的に理解し体感したならば、「つい」を改めればその後の行動はスコアに直結し、幾らでも稼げる様になるだろう。 そうでなく何度対戦しても何度攻撃しても最終的に撃墜されるのは「つい」と云う愚行を繰り返すからであって、「つい」を改めないまま更に思考を重ねるから思考の迷路に嵌る。 「有利位置から降ったのに逆転された」 (「つい」目の前の敵を追いすぎたのではないか?) 「真上から降ったのに爆撃機の機銃に撃たれた」 (「つい」見越し角が浅いのに攻撃を強行したのではないか?) 「戦車掃除していたらAAに撃墜された」 (「つい」射程内を単調に直線飛行したのではないか?) 「速度優位な機体なのに追いつかれて撃墜された」 (「つい」高度を下げて急旋回回避機動を取りすぎたのではないか?) 改めて、自分の行動を振り返ってみよう。 上記の例の様に、「つい」は悪要素しかもたらさない。 それが理解出来たなら改善可能な筈だ。 |
2004/01/04 |
◆「敵機の墜とし方」 |
一切被弾せず自機の弾を命中させ続けるだけ。 至極簡単にして単純明快だ。 無敵のインチキ機体でない限り、例えジェット戦闘機でもそのうち壊れて墜ちる。 そこで「一切被弾せず自機の弾を命中させ続ける」ための要素を列挙してみよう。 1)危険な空域に行かない。 ▼例えば敵空港上空など。もし爆撃等に出かけるのであれば、相手を舐めきっていない限り単機突入は自殺行為である。 ▼また、危険に晒されている状態の最前線空港から無理に離陸しない。 2)単機で行動しない。 ▼後ろを守ってくれる僚機がいないと云うことはそれだけで危険。 ▼逆に云えば、1機が率先して吊り上げてもう1機が僚機の後ろを始末するロッテ戦法を繰り返せば単機の敵機は幾らでも食える。 3)低空を這い回らない。 ▼上位に占位した敵機からすれば、例えその敵機がどんな低速機であっても下に居る自機は鴨以外の何物でも無い。 4)有利な条件以外で戦わない。 ▼状況が互角または不利であれば無理せず逃げるのも勇気。 ▼そこで突っ込んで散るのは蛮勇若しくは無謀と云う。 5)一切の旋回戦を行わない。 ▼理由は 別記 の通り。 6)正面攻撃に到る攻撃をしない。そうなりそうなら逃げる。 ▼理由は 別記 の通り。 ……と書くと、取る手段は自ずから決まって来るのが判る筈だ。 つまり、理想的な戦法とは 1]徹底した一撃離脱戦法。 ▲どんなに旋回性能に優れた機体を使用していたとしても、一度に単機しか相手に出来ない戦法で撃墜にとても時間の掛かる旋回戦は自機のリスキーな時間が多すぎ、しかも自機より優れた技量を持った手練れが相手では勝てない。 2]連携の徹底、味方同士のフォロー戦術。 ▲味方の後ろを追っている敵機が一番無防備で墜とし易い。 ▲自機が率先して追いかけている時は後ろの敵機は僚機が始末し、逆ならば自機が始末すればとても楽で早い。 ▲因みに1機を複数機で同じ軌道で追いかけるのは味方衝突上等の意思表示。 3]高度優位、速度優位の徹底。 ▲離陸後多少の時間を割いてでも自機が有利になるための第一条件として、エネルギーの優位を稼ぐ。 ▲しかし速度優位だけでは高低差を利用した急降下攻撃で埋められてしまうので、ある一定以上の高度が絶対に必要となる。 4]数的有利状態、位置的有利状態での戦闘の徹底。 ▲高性能機に乗機している者ほど数的不利、位置的不利での単機突入の愚行を行いやすい傾向にあるが、機体は高性能ではあっても操縦者の技量次第で最弱機体に墜とされる状況・事例は幾らでもある。 ▲不利条件に飛び込むからには当然それなりの(自機の性能を完全に使いこなし、眼前の敵機を全機叩き落とせるくらいの)技量を保持するまでに修練してからでも遅くは無い。 ▲陣営全体の人数比で負けていても、その空域で有利状態を作り出すことは可能。 さて、これらに照らし合わせて自分の行いを振り返ってみよう。 無謀が大手を振って歩いている様な行動を好んで行っていないかな? もし現在の階級が将官クラスであっても、上記の事例のどこかに心当たりがあるならそれはこれらを改善すればまだまだ効率的に稼げる余裕があると云うことであるし、殆ど全てに思い当たる節がある様な方ならそれは毎回の出撃が自分では気づいていないかもしれないが自殺しに出かけていると云うことだ。 もちろん、TCは陣取り合戦である以上、上記の事例に抵触する様な任務もあるが、その際はこれだけの危険が潜んでいると云う点に留意すればその任務の方法も危険ではありながらどうにか安全にしようと云う努力を生む思考の余地が出てくるかと思う。 |
2004/04/30 |
◆「スロットルの使い方」 |
JASの初級、中級講習では基本的にスロットル、ラダーの操作は全く教えない。 それは飛行機の操縦に使用する動作のうち、エレベータ軸とロール軸と云う2軸の操作をまず第一に習熟させるためであり、それが習熟出来ていない状態で他の操作を練習させると容易く混乱とおかしな癖を発生させる原因となるからである。 実際、よほど変な攻撃を仕掛けない限りLv5以下の初級〜中級レベルでの飛行ではこれは殆ど必要の無い操作であるからして、これ以降はLv7以上のトルク効果がある上級アリーナでの操作として解説する。 まず飛行機を上空で制御するために基本的な操作として2軸をある程度のレベルまで習熟し、方向を変えるために必ず必要な操作となる旋回の要素、そして飛行機が空に浮いていられる必須条件である物理エネルギーの増減を理解した後にここから下は読んで頂きたい。 さて、飛行機の操作の上でスロットル操作と云うのは速度を増減させるためにだけ使うのではなく、揚力を増減させるためにこそ必要な操作なのだ。 まず、飛行機の操作系統は多様である。 1)推進力制御のためのスロットル操作 2)揚力制御のためのエレベータ、ロール操作 3)トルク偏向力調整のためのラダー操作 4)揚力調整のためのトリム操作 FAで操作出来る操作系統は以上の4通りであるが、これらは全て加速・減速や上昇・降下・旋回の操作を行う上で複雑に絡み合った複合操作(同時制御)が必要になる。 複合操作を行う上で必ず必要になるのは操作をする機体の動きに対する理解で、まずはそこを考えてみよう。 飛行機はエンジンの出力でプロペラを回し、プロペラが生み出す推進力で前に進み、前に進んだ際に翼が空気を切り裂き揚力を発生させ浮かぶ。 エンジンの出力はプロペラに伝わるが地面等の大きな土台が無ければプロペラを回す代わりにその回転力はエンジンをプロペラと反対方向に回そうとする。これがトルクだ。 また、プロペラで発生した推進力となる強力な風はプロペラが回転して発生させたものである以上、その回転力を維持したまま螺旋状にプロペラ後方に向かい、主翼や胴体、尾翼等に当たって抵抗力(誘導抵抗と云う)となって推進力をある程度打ち消す役割を果たしてしまう。 また、推進力が螺旋状に後方へ向かうわけだから当然ながらプロペラで進む機体は常に斜めに回転する推進力を持って飛行するワケで、まっすぐ飛ぼうとするならそれを修正するための偏向力を打ち消す舵面と操作が必要となる。 そのためにあるのがラダーだ。 飛行機は機首を向けた方向へ飛行するのが最も早く方位を変更する手段であるが、ロールとエレベータ操作で揚力を増減し方位を変えるのは飛行機が発生する力のうち最も強く働いているのが揚力であるためで、偏向力を打ち消すためにしか使用しないラダーのみを使用した方位変更方法がないのはそのためである。 話を戻して、スロットル操作で、ここでは速度の増減を目的として考えてみよう。 例えば50%スロットルから100%スロットルへパワーを上げたとする。 このとき、飛行機の速度が倍に上がると思われるだろうか? 実はそう簡単には上がらない。まず顕著に現れるのが推進力増大に依るトルク効果の増大、それに伴う誘導抵抗の増大、そして最後に揚力増大に依る機体の上昇効果。 トルクの増大を放っておけば機体はプロペラの回転方向と逆方向に機体を回転させようとし、機体全体の抵抗でその力を殺しきれなければ機体は徐々に回転していく。斜めの姿勢では速度は上がりにくい。 誘導抵抗は進行方向をまっすぐにさせてくれない力だ。まっすぐ進めなければ胴体の左右どちらかの面が推進力の風を受けて空気抵抗となり、スピードブレーキと同じ役割を果たすので速度が上がらない。 揚力は上でも述べた通り飛行機が発生する力の中で最も強い力であり推進力と密接に関連して増減する力であるが、これは主翼に当たる空気の速度で簡単に増減する。そして揚力は常に翼の下方向に向かっているため、尾翼の操作で機体が上に上がろうとする力を逆方向に同じだけ打ち消してやらないとまっすぐ水平に飛ぶことが出来ない。 この場合、尾翼の操作を何も行わなければ揚力は増大した分だけ機体を上に持ち上げようとし、結果的にスロットルの操作に依る推進力増加は増大した分の半分以上を意図した方向とは別方向に取られてしまうので、期待した増速は得られないと云う結果になる。 逆にスロットル100%から50%にした場合であれば、推進力の減少に伴って揚力・誘導抵抗・トルクが減少し、機体は自然と降下に向かいエネルギー保存の法則に従って高度は落ちるが速度は増すと云う状態になる。 揚力の減少に依る機体の降下動作を水平維持操作で相反してやらなければ、水平飛行を維持したまま速度だけを落とすと云う結果にはならない。 スロットル操作を行わず50%のまま上昇姿勢を取れば速度は落ちるが高度は上がり、降下すれば高度が落ちて速度が上がるのはエネルギー保存の法則の通り。 つまりスロットル操作と関連して、速度をより早く増減するためには機体姿勢の制御も行わなければならないし、機体姿勢を変えるだけである程度速度を増減させることが可能と云うことだ。 幸いにしてFAにはオートトリム(デフォルトではTキー)と云う機能があるので、スロットルを操作した際に常に使用を心がけていれば最初のうちは簡単だろう。 しかし初期機体セットの中にはオートトリム無効の機体があったり、アリーナ設定でオートトリム無効のアリーナもあるのでその際には上記の解説を元に適切な操作を行えば良い。 旋回中の操作も同様であるが、これは機体が左右方向へ傾くとスリップ・スキッド計を見ながら機体の横滑りを止めるためのラダー操作をより強く行わなければ結果的に無駄な方向へ推進力が働き無駄な距離を飛んでしまいエネルギーを無駄にしてしまうものなのだ。 ここまで読んでスロットル操作とその他の舵面の複合操作が理解出来た方は、今までの自分のスタイルと照らし合わせてご自分で修練し操作を完熟してみると良いだろう。 今まで全開にすることで大回りしていた局面を小回りに変えることに出来たり、それに依って生まれるメリット・デメリットが自分の取る機動に考察するポイントを与えるだろう。 そこから生まれた自分なりの考察結果はあなただけのモノで、実戦中に研鑽し思考を重ねることでより研ぎ澄まされた刃として使用が可能になる筈だ。 |
2004/05/05 |
◆「高速旋回戦の概念」 |
JASの初級講習では基本的に一撃離脱をメインとする戦術として講習し、旋回戦は中級以降での指南としている。 事あるごとに旋回戦は効率が悪い、と教えているが、では効率のいい複数機を相手に行なう旋回戦は無いのだろうか、と云うと、実はある。 機体性能の差とエネルギーの差を巧く使うコツとして自機の最も優れた特色を十分に理解し敵機の可能なことと不可能なことを敵機のEを読み取って考え、常に自機を有利に置き敵機に不可能を強要するのが第一前提となる。 ここで簡単な例としてA6M2(零戦21型)とSpitXIVの同位旋回戦の状況を考えてみよう。 前提条件として、双方全速ですれ違った瞬間に機動を開始するJAS競技形式での戦闘とし、他の僚機は存在せず、高速離脱はしないものとする。 1)A6M2が勝利条件を得るための考え方 先ず第一に、A6M2は旋回性能ではFA最高の性能を持つ戦闘機でありSpitXIVに勝るが速度、上昇力で圧倒的に劣る。 そのためすれ違った直後に素早く反転上昇し敵機に離脱される前に射点につき致命傷を与えないとならない。 また、長期戦になり敵機が旋回を中断し速度を稼ぎ上昇に転じると高度優位からの一撃離脱状態に陥り、主導権が無く回避反撃を狙うしか手段が無くなってしまうので戦闘を有利に運ぶためには短期決戦、そして相手が高位に逃げる前に射程内に捕らえ射撃し敵機に回避行動を強要し相手のEを削り、上位を取って速度差を埋めるために必要なローヨーヨー機動を取るための最低限の高度優位を確保し続けなければならない。 そして敵機より優位位置を確保した後は降下に依って得られるEを封じるために積極的に一撃離脱攻撃と旋回離脱を繰り返し、敵機を常に自機の攻撃可能な位置に置いたまま上位を押さえて戦闘高度を下げる様に仕向ければ離脱に必要な速度を得られず無理に旋回回避を続けることを強要出来、最後まで有利に戦闘を運び撃墜することが出来る。 -------------------------------------------------------------------- 2)SpitXIVが勝利条件を得るための考え方 SpitXIVは上昇力と速度が群を抜いており、良好な操作性と旋回性能を有するために一撃離脱中の進路変更が容易で安定性もあり、装備機銃の弾速が速く割と遠距離から弾幕を張りやすい。 しかし低速旋回性能や急回頭に掛かる時間はA6M2と比べるまでも無く劣っているので、この種の機動は禁じ手とし、常に敵機より高速度を維持し旋回戦に望むことが必須条件となる。 そのため、すれ違った直後に速度を失わないまま緩い上昇旋回機動に入り、敵機が反転急上昇しても射線に入らないだけの距離を維持したまま旋回上昇を続け、敵機がEを失ったか失う寸前に一撃離脱攻撃を仕掛ける方法が主流となる。 敵機が反撃を狙っていると予測される動きをしているなら予測進路に弾幕を張り回避を強要し、自機は敵機高度より下に離脱することを厳禁とし常に高速を維持したまま旋回上昇〜降下攻撃を行ない敵機にプレッシャーを与え続けミスを誘い、自機もまた割と攻撃中の軌道変更が容易とは云え無理に追わず優位状態を維持し続けることが重要だ。 簡単な例を挙げると、350km/hで旋回中のA6M2が小回りをして彼我の距離を縮めようとしても、自機が450km/hの速度を維持したまま上昇旋回を続ければ100km/hの速度差の分+上昇した分の距離があるためA6M2は近づくことが出来ない。 無理に近づこうと上昇角を取って高度を上げようとすれば速度が落ちるし、より先回りしようと速度を貯めてショートカット軌道に乗ったなら自機も旋回率を緩めて速度を稼ぎより上昇軌道を上げて高度差を付けてやれば良い。 相手の動きに合わせて積極的に自機の軌道を変化させ上昇旋回で敵機との高度差を付けてやることで、後ろに付かれたままでも自機の方に主導権が有り、射程外の距離を維持したまま反転降下のために必要な距離を得ることが出来る。 最終段階ではある程度の距離を保ったまま自機は縦旋回〜背面から斜め降下で攻撃を仕掛ければ一撃離脱状態の完成となる。 相手のEがかなり削れているならばハイヨーヨーから仕掛けても良い。 -------------------------------------------------------------------- ここまで読んで気づいた方もいらっしゃるかもしれないが、旋回戦の最終段階では一撃離脱状態になるのが理想で、上記の例でも解る通り旋回性能は特に必要では無く重要なのは敵機に自機の意図を強要させる機動とそれを可能にするEの確保、保持である。 パワーと速度のある機体の方が有利状態を得られやすいのは確かだが、1)の例の通り機動と戦術の選択如何で戦況は幾らでも自機の有利に働かせることが出来、逆に云えば幾ら高性能の機体に乗っていても選択を誤ればひたすら逃げに徹するしかない状態にまで追い込まれる羽目になることも多々ある。 また、2)の戦術は複数機に追われても自機が敵機より常に優速を保っていれば全ての敵機を後ろに連れたまま撃墜を狙うことが出来、まっすぐ降ってまっすぐ離脱する一撃離脱よりも戦域がコンパクトに纏まる分僚機との連携が容易であり、旋回中の降下攻撃をローヨーヨー機動と組み合わせれば離脱再上昇の手間が短縮され攻撃回数がより多く得られ短時間での波状攻撃も可能である。 今回紹介した高速旋回戦戦術はどちらかと云うと旋回戦に有利と思われているJP機より高速性能と上昇力に優れているGB機やGE機、SU機向けで、今まで単純な旋回戦は忌避していた方々も思考をちょいと変えてやるだけで勝てる可能性があることを理解出来たかと思う。 別記 にある「安易でない旋回戦」とはこのことである。 追記: JP機でこの種の高速旋回戦戦術は出来ないので、旋回速度を旋回率に置き換え、敵機の上昇力を旋回率で削ってやる軌道が必要となる。 上昇し自機に向かって来る敵機の前で水平面での最小維持旋回を行ない、敵機が上昇中に進路をどんどん変更して持っているEをすり減らすことを強要することになる。 ロール性能に自信があればバレルロール機動を用いても良いし、どれも自信が無いなら逃げに徹したり僚機を待つのも選択肢のひとつだ。 |
(C)SDR